唇のシミについて
唇のシミについて
- ポイツ・ジェガース症候群(Peutz Jeghers syndrome)
- アジソン病(Addison disease)
- Laugier-Hunziker-Baran 症候群
- Multiple lentiginoses syndromes(レオパード症候群)
単純黒子
単純黒子は母斑細胞母斑(ホクロ)の前病変であると考えられている色素斑で唇にも見られます。組織学的にホクロは母斑細胞が集簇しているのに対し、単純黒子は母斑細胞の習俗が見られません。
母斑細胞母斑(ホクロ)
唇にも母斑細胞母斑が見られることがあります。平坦な場合と盛り上がっている場合があります。
老人性色素斑
いわゆるシミで、紫外線による影響が大きいです。中年以降に発症することが多いです。
labial melanotic macule
これを独立した疾患とするかは異論のあるところですが、口唇に通常、一つの円形、もしくは楕円形の褐色〜黒の色素斑が見られます。臨床的病理学的に診断を行います。陰部の粘膜にも見られることがあります。
静脈湖
やや盛り上がる感じ、ぶよぶよした感じなどで簡単にそのほかの疾患と区別が可能です。ダーモスコピーでみるとそのほかの疾患と完全に区別が可能です。
炭酸ガスレーザーで治療を行います。大きな静脈湖(5mm以上)であれば手術も検討していいでしょう。いずれも保険適用となります。
悪性黒子
悪性黒子はメラノーマと似た疾患で、悪性のメラノーマ細胞が表皮に長く止まった状態であることが特徴です。よくメラノーマの初期病変と勘違いしている方が多いのですが、日本人で唇に悪性黒子ができることは少ないため、別の疾患と考えます。診断はダーモスコピーで色素のパターンの乱れなどから行いますが、唇の場合、悪性黒子とそのほかの色素斑との鑑別は困難なことが多いです。最終的には切除、病理検査を行います。 悪性黒子を疑った場合は、生検を行います。全切除生検が望ましいでしょう。
診断が確定したら拡大切除を行います。大病院で行うことが普通です。
悪性黒色腫:メラノーマ
悪性黒色腫は最も危険な皮膚悪性腫瘍の一つで、浸潤傾向、拡大傾向が見られます。唇にも発生することがあります。日本人のメラノーマは口腔内に発生する頻度が高く、唇にまで染み出してくることもあります。
大病院にて精密検査の上、拡大切除、再建が行われます。
クリニックで治療を行うことはありません。
炎症後色素沈着
アトピー性皮膚炎やかぶれの炎症性疾患をくり返していると、唇に色素沈着が発生することがあります。唇に小さな色素沈着が複数見られるのが特徴です。
ポイツ・ジェガース症候群(Peutz Jeghers syndrome)
ポイツ・ジェガース症候群は唇、口腔内、指先などに褐色からの黒の小斑点が多発する常染色体優性遺伝の疾患です。食道を除く消化器にポリープが多発します。腸重積、消化管出血、ポリープの癌化などのリスクがありますので、早期に診断する必要があります。
アジソン病(Addison disease)
アジソン病は副腎の機能不全によるもので、それにより様々な症状を引き起こすことが皮膚に色素沈着を引き起こすことが有名です。口腔内や口唇にも色素斑が現れます。
現代において色素沈着がきっかけでアジソン病が見つかるということはないでしょうが、一応知っておいたほうがいいでしょう。ただしアジソン病のうち全例において色素沈着が見られるわけではないので、色素沈着がないからといってアジソン病を否定する根拠にはなりません。
Laugier-Hunziker-Baran 症候群
口唇、口腔内、指先、爪などに色素沈着が見られるが、消化器の多発ポリープ、内分泌疾患を伴わない疾患です。
色素沈着のみ見た目だけが問題となります。
色素沈着はレーザーなどで治療が可能です。
レオパード症候群(Multiple lentiginoses syndromes)
日本ではLEOPARD症候群、レオパード症候群と呼ばれる疾患ですが、全身にホクロが多発します。もちろん口のまわりに多発します。心電図異常、両眼隔離、肺動脈弁狭窄、性器異常、成長遅滞、外反肘、胸郭異常、難聴など、様々な合併症を有します。
全身にホクロが多発するので、唇にだけホクロが多発するわけではありません。
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