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酒さ(赤ら顔)

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酒さとは

かつて日本で酒さは珍しいといわれていましたが、近年では日本でも酒さでお悩みの方が増加傾向にあります。酒さは慢性的な赤みやほてり、ヒリヒリ感が持続するため心理的、整容的な負担が増し生活の質を低下させる病気です。

赤ら顔の中でもほとんどを占めるのが酒さです。赤ら顔そのものは、それほど健康被害をもたらすものではありませんが、ベースに大きな疾患が隠れている場合もあります。たかが赤ら顔と油断するのも好ましくなく、お悩みの方は専門医に相談したほうがいいでしょう。

まずはカウンセリングからご予約ください。

 

酒さの症状

酒さ

酒さには様々な病態、臨床像があります。順番に移行するわけではなく別の病気ととらえていただくと良いでしょう。

1期 顔の紅斑、ヒリヒリ、ピリピリ感、発赤が持続、もしくは断続的に現れる。
2期 1期の症状に加え、プツプツとしたニキビに似た発疹が現れる。
3期 鼻の紅斑、腫れ、にきびのようなしこりが出現するしこりを放置すると鼻瘤(だんご鼻)が見られる。

一般的には、慢性的、かゆみが少なくピリピリした感じが強い、火照り感がある、紫外線、飲酒により増悪するといった特徴があります。
また気温の変化や体調の変化によっても症状に波があります。

酒さの原因

酒さのはっきりとした原因はいまだにわかっておりません。
皮膚表面にいるダニや常在菌に対する過敏反応という説や、自然免疫の異常、血管が拡張する事から血管を制御している神経に関わる説、慢性的な化学物質によるアレルギー反応、ステロイドの影響、食生活の変化等様々な原因が考えられております。

 

酒さの治療法

膿疱・丘疹(ブツブツ)のある酒さ

【保険適用】ニキビのようなブツブツが伴う酒さ(主に2期)抗生剤の内服や外用薬が推奨されています。

ロゼックスゲル

※ロゼックスゲルが保険適用となりました。ロゼックスゲルの主成分「メトロニダゾール」を含むクリームは世界的に酒さの治療にも用いられるお薬です。
メトロニダゾールがニキビダニを殺菌することで効果を発揮しているのではないかと言われています。

しつこい赤みやほてりのある酒さ

【自費診療】しつこい赤みやほてりのある酒さ(主に1期)に対しては抗生物質の内服、外用の効果は乏しく、イギリスの酒さガイドライン(2021年版)でも抗生物質は推奨されていません。同ガイドラインではレーザー治療やフォト治療が推奨されていますが、当院ではよりダウンタイムの少ないフォト治療を推奨しております。

フォトフェイシャル

フォト治療機から放出される特殊な光が毛細血管のヘモグロビンに反応して熱が発生します。その熱が拡張した毛細血管の内皮細胞にダメージを与えることで、余分な毛細血管を消退させます。その結果、赤みや火照りの改善が期待できます。

メニュー 料金(税込)
全顔トライアル 16,500円


フォトフェイシャル

ポテンツァ

ラジオ波を用いたフラクショナル治療で、微小な針を肌にさして、針の先からラジオ波を流すという治療法です。近年酒さに効果的という報告がございます。詳細はページ下部に詳しく説明しております。

メニュー 料金(税込)
1回(部位により異なります) 38,500円~77,000円


ポテンツァ

ミルバソゲル

ミルバソゲルはブリモニジンを主成分とする、ゲル状の塗り薬です。日本ではまだ酒さへの使用が承認されておらず、クリニックで自費購入する医薬品です。ただし、米国においては紅斑毛細血管拡張型酒さの第一選択薬として承認されており、有効性・安全性も確認されています。

メニュー 料金(税込)
10ℊ 13,200円


ミルバソゲル


自宅で出来るケア方法

酒さはご自身で治す事は出来ません。大切なのは酒さをこれ以上悪化させない事です。
その為ご自宅でも出来る酒さを悪化させない対策をご紹介します。

・紫外線対策…紫外線を浴びると100%といってもいいほど酒さが悪化するので日焼け止めや日傘等を用いて紫外線対策を徹底しましょう。
・温度差…急に熱いところに行く場合酒さが悪化する恐れがありますので注意しましょう。
・刺激物の摂取…熱いもの、からいものなど刺激物を避けましょう。
・激情‥急に怒ったり興奮しないようにストレスをためない生活を心がけましょう

 

その他の赤ら顔

酒さ様皮膚炎

ステロイドを長期間、顔につけていた方に発症しやすいです。症状は酒さとほぼ同様です。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は幼少期から見られる場合が多く、徐々に顔が赤黒く変色してくることがあります。かゆみが強いことが多く、鱗屑(フケに似たもの)が伴うことが多いのが特徴です。

ニキビ・ニキビ跡

思春期によく見られます。ニキビが悪化すると赤ら顔に見えることがあります。毛穴の閉塞が見られるのが特徴です。毛穴にそって白いぽつぽつが見られます(コメド)。しばしばニキビの跡に、炎症後の赤みが持続することがあります。

脂漏性皮膚炎

髪の生え際、鼻の横を中心にカサカサした赤みが目立ちます。火照り感は比較的少ないです。かゆみも通常の湿疹と比べて少ないことが多いです。

膠原病(全身性エリテマトーデス)

膠原病(全身性エリテマトーデス)に伴う蝶形紅斑が赤ら顔と認識されることがあります。
両ほほが赤くなり、鼻根部で赤みが繋がります。紫外線により発症、増悪し、水泡が見られることもあります。
発熱、全身倦怠感、関節痛などの全身症状を伴うことが多いです。放置するのは非常に危険な疾患です。

光線過敏症

正常では皮膚炎を起こさない程度の紫外線でも皮膚炎を起こす疾患をまとめて光線過敏症と呼びます。紫外線を浴びると顔だけでなく露出部が赤くなり、水泡や蕁麻疹、湿疹ができます。紫外線を浴びると顔が赤くなりやすい、という場合は、光線過敏症も鑑別に挙がります。

化粧品かぶれ

慢性的に化粧品でかぶれていると顔の赤みが目立つことがあります。目の周りや口の周りに症状が目立ちます。

更年期のホットフラッシュ

更年期に一時的な顔の赤み、火照りが目立つことがあります。酒さの1期の断続的紅斑との違いは更年期に伴うホットフラッシュの場合は全身に火照り感、発汗が強く見られる点です。

その他赤ら顔になりうる疾患

    • ・毛細血管拡張症
    • ・糖尿病性潮紅
    • ・高血圧
    • ・カルチノイド症候群
    • ・褐色細胞腫
    • ・肥満細胞腫
    • ・甲状腺髄様癌
    • ・腎癌

上記のように赤ら顔にはいろんな病気が隠れている場合がありますので、肌の赤みで気になる方は当院へご相談ください。
必要に応じて採血など検査を行います。

 

ICON(フォト治療)の毛細血管拡張症に対する効果

ICONは当院でも採用しているフォト治療器(IPL)で、美容治療で使われる代表的な治療機器です。近年ではICONの血管病変(酒さを含む)に対する効果が多く報告されています。

そもそもIPL治療(フォト治療)血管病変との相性はよく、毛細血管拡張症、赤ら顔、酒さによく使われています。
様々な論文が提出されていますが、例えばCampolmi Pらはシバット型多形皮膚萎縮症と酒さの患者61名に対してフォト治療を行いました。IPL治療は、3週に一回4〜6回行われました。その結果、51名に著名改善、10名に中等度の改善が見れました。

Lin Gaoらは、アジア人の顔面の毛細血管拡張症に対するPDL(色素ダイレーザー)とIPL(ICONとM22、その他のIPLを使用)した場合の効果について比較しました。
・PDL 595 nm (9-12 J/cm2),
・ICON MaxG(500-670 nm & 870-1200 nm, 30-46 J/cm2)
・M22 560 (560-1200 nm, 15-18 J/cm2),
・M22 590 (590-1200 nm, 15-20 J/cm2)
・その他IPL (560-1200 nm, 18-24 J/cm2)
を6週間のインターバルを開けて2回の治療が行われました。

その結果、PDLとICONが最も成績がよく、どちらも95%弱の改善率があり、それ以外は41.38%-56.58%程度でした。PDLはレーザーであるため最も効果が高いのは言うまでもないのですが、いわゆるフォト治療の中ではICONが最も効果が高いと言う結果になりました。Lin Gaoらはその出力が最も影響を与えてるのではないか、と分析しています。

以上よりICONがIPL治療器の中では血管病変に対して最も効果的な機器と考えております。

Balzani Aらは、ICON MaxGは顔面の血管奇形の治療としても使用可能であると述べています。
 

ポテンツァ(Fractional Microneedling Radiofrequency)による酒さ治療

ポテンツァはマイクロニードル(微小針)とラジオ波を組み合わせた治療で、近年、酒さに効果的との報告が増してきています。
ラジオ波(RF)は皮膚のバリア機能を強化し、過剰な血管にダメージを与えることで効果を発揮しているのではないかと考えられています。Sue-Jeong Kimらの報告ではVビームやフォト治療(IPL)と同等の効果が得られるとしています(Comparative Efficacy of Radiofrequency and Pulsed Dye Laser in the Treatment of Rosacea)。そのほか赤みや灼熱感を改善させるという報告は散見されます。

そのRFにマイクロニードルを組み合わせた治療がポテンツァです。

Ben WangらによるEfficacy and safety of non-insulated fractional microneedle radiofrequency for treating difficult-to-treat rosacea: a 48-week, prospective, observational studyで、酒さの患者に2ヶ月間隔で48週治療をおこなっています。結果的には34人の患者のうち22名が著効もしくは改善、30名が大いに満足、もしくは比較的満足という結果をえています。大きな副作用はありませんでした。

ポテンツァによる酒さ治療には十分なエビデンスはないが、他に方法がなければ試してみる価値はあると考えています。

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