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2018年07月30日

シワの種類別治療方針

シワの治療法は患者様の年齢、皮膚タイプ、肌質、皮膚の厚みによって異なります。

光老化の程度、しわの重症度、重力による変化も治療法に影響を与えます。
さらには、患者様の期待と生活様式も考慮するべきです。
治療法の選択肢は、クリーム、ケミカルピーリング、ボツリヌス菌毒素製剤、フィラーの局所的使用から、レーザー治療、手術まであります。

肌を若返らせるために、あらゆる深度のケミカルピーリングが使われるが、その深度はシワの位置と重症度によって異なります。

ただし、アジア系の人には深い深達度のケミカルピーリンは禁忌に近いです。禁煙、適切な日焼け予防、SPF値が高い日焼け止めの使用などにより、悪化させる要因を最小限に抑えることが重要です。

しわの分類によって、治療法は異なります。

静止時あるいは顔を動かした時の小ジワ

小ジワに対しては、(国によって異なるが)薬局、病院で入手できる再表層のケミカルピーリング、局所レチノイド、抗酸化剤の併用療法が効果的です。この治療法のうち、局所レチノイドは小ジワ予防と治療にもっとも効果的である。

局所レチノイド(ビタミンA誘導体)

• 局所レチノイド(ビタミンA誘導剤)は、小ジワと紫外線による角化症の外見の改善および皮膚の凸凹や色素過剰を軽減します。表皮細胞の剥離を誘導することによって作用します。そのほか、紫外線によるDNAのダメージからの修復、皮膚コラーゲンの増生、毛細血管拡張症の修復、脂腺縮小による毛穴サイズの減少と肌のひきしめを促します。

• トレチノインは光老化に対する治療に最も効果的なレチノイドです。長期間継続的に使用されるとより良いでしょう。

• イソトレチノインは深いシワおよび小ジワのどちらの外見の改善にも効果的であり、刺激性は比較的少ないと報告されています。

• レチナールデヒドもまたシワの外見を改善するのに効果的であると言われています。

• タザロテンは、当初は慢性尋常性乾癬の治療用に開発されたが、深いシワ、小ジワ、色素過剰、表面の凹凸、全重症度の光老化といった外見を継続的な改善させます。タザロテンはしわの軽減に関して、トレチノインと同程度有効であると考えられています

• アダパレン(ディフェリン)、レチノイドの様な薬は通常ニキビ用に必要とされるが、光老化の治療にも効果的です。

抗酸化剤
抗酸化剤は緑茶、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10などが含まれます。これらはクリーム、ローション、経口処方で取り入れられます。これらは太陽、ストレスと汚染によって生じるフリーラジカルを中和することによって作用します。

表層のケミカルピーリング
低pH石鹸などの、処方箋不要の表層のケミカルピーリングには、肌をより若返られせるものが少しあります。

ケミカルピーリングは皮膚の外見を改善するが、ピーリング薬剤にはいろいろあります。

α-ヒドロキシ酸は果物と野菜から抽出され、表皮性と皮膚のヒアルロン酸レベルだけでなく表皮とコラーゲンの厚みを増やします。

合併症は軽度であり、乾燥と軽度の刺激があります。サリチル酸 (30%)はスーパーフィシャルピーリングにも使用されます。3~5回のケミカルピーリングを毎月繰り返すと、6~12ヵ月最大治療効果が続きます。

顔を動かした時だけにできる表面的なシワ

このタイプの患者は、局所レチノイド、抗酸化剤、表層のケミカルピーリング、ボツリヌス(BTX)注射(リンク)で治療できます。これらの治療法は継続して使用できます。

レチノイドと抗酸化剤の局所利用によって、表層のケミカルピーリングに向けた肌の準備ができます。ピーリング後には、肌の完全修復のためにボトックス注射(リンク)をしなければならない場合もあります。

顔を動かした時だけにできる深いシワ
この分類の患者には、ボトックス注射(リンク)が治療の選択肢にあり、第一選択治療法です。次いで中間深層ピーリング、フィラー、削皮術、レーザーアブレーションがあります。

中間層~深層のケミカルピーリング(様々な方法がありますが、副作用が重篤なため日本ではほとんど行われていません。アジア人には向かない治療法でしょう)

• トリクロロ酢酸(TCA):中間層のピーリングにおいては第一選択のピーリング材です。副作用には稗粒腫形成、口唇ヘルペス、炎症後色素過剰、色素脱失症と瘢痕があります。
前述の通り日本人には危険すぎるピーリングですので、ニキビ痕などに部分的に使われるだけです。
その際も、一時的ではありますが、ニキビ痕をさらに目立たせてしまうことがあり、かなりしんどい治療と言えるでしょう。

• ピルビン酸はやはり中間層ピーリングに利用されます。肌質、小ジワの外見、色素過剰を改善します。筆者の知る限り日本で使われてはいません。

• フェノールピーリングは深層ピーリングに使用さレます。
ピーリング後の浮腫と壊死が付随し、長期間の回復時間となる。心不整脈と咽頭水腫のリスクがあるため、適切な痛覚脱失、心臓モニタリング、蘇生用機器が必要です。
このため、フェノールピーリングは最後の選択肢として使用されます。日本で使われることはありません。

• 中間層および深層のピーリングは通常継続的に繰り返されるものではありません。

フィラー
これらの薬剤は、老化による輪郭欠陥を改善する手段として、顔のハリを復元して、軟部組織を増加させます。

フィラー薬剤はいくつも存在します。
分類は、効果持続時間により区分され、一時的または生物分解可能な薬剤(コラーゲン、ヒアルロン酸、自己の脂肪)、半永久的な薬剤(カルシウム・ヒドロキシルアパタイト、ポリ-L-乳酸)、永久的な薬剤(ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコン)があります。

フェイシャルフィラーには真皮深層部または皮下の脂肪に取って代わる代替薬剤と、線維芽細胞の活動、コラーゲン生成、軟部組織の成長を刺激する刺激性フィラーのどちらかがある。
注入層は、使用されるフィラーのタイプと処置される部位により決定されます。小ジワは皮内フィラーによって、大ジワは真皮深層部または皮下組織に注入できる薬剤で処置されます。

• ヒアルロン酸製品(リンク)は一時的なフィラーで、最も一般的に用いられる。
固有の粘弾性特性と高い保水容量が効果的に溝を埋めるからです。ヒアルロン酸の材料の化学的性質により、それぞれ異なる技術によって注入される。
副作用は比較的少ないが、アレルギー反応を起こす可能性がわずかにあります。効果は6〜24ヶ月続きます。

• ポリ-L-乳酸は生物分解可能であり、真皮の深層部あるいは皮下に注入される半永久的なフィラーである。
肉芽腫形成を引き起こすことがあります。
顔のシワやほうれい線や脂肪組織萎縮に使用されます。効果は最大25ヶ月続きます。

• フォラー薬剤としてのコラーゲンは、ウシ、ヒト、ブタから抽出されます。
ウシのコラーゲンは、軟部組織増加のための治療において承認された最初の製品であり、アレルギーを回避するために、注射前にはスキンテストをする必要があります。
しかし、ヒト由来のコラーゲン製品は、スキンテストが不要である。効果は3〜18ヶ月ある。

• PMMAは球状のポリマーで、通常ウシ由来のコラーゲンあるいはヒアルロン酸との合剤として使われます。
大ジワの治療に使用され、長期間効果を得られますが、肉芽腫形成の恐れがある。副作用として、肉芽腫形成リスクがあるため、PMMAは人気が低くなってきています。

• フィラー薬剤としての自己由来脂肪はアレルギー反応がほとんどないという長所があり、広く使用されています。
しかし、注射前に脂肪抽出が必要であるという短所があります

• カルシウム・ヒドロキシルアパタイトはスキンテストを不要とする半永久的なフィラーです。
副作用には、紅斑、浮腫、一過性凹凸、肉芽腫形成があります。効果は1年以上持続します。

• シリコンは永久的なフィラーです。真皮深層部または皮下に注射されていました。
過去には使用されたものの、肉芽腫形成やシリコンの遊走などのリスクが高いため、フェイシャルボリュームにはもう推奨されていません。

無表情時に小ジワがあり、かつ顔を動かした時に深いシワができる。

このタイプの患者の治療アプローチは、顔を動かした時にのみ深いシワができる患者様と基本的には同じです。

しかし、それぞれの処置が、肌のより深くに施される必要があります。

中間層〜深層ケミカルピーリング、ボトックス注射(リンク)、フィラーは効果的であるが、それに加え削皮術やレーザーアブレーションによるスキン・リサーフェシングといった侵襲性がより高い治療法が通常使われます。
削皮術とレーザーアブレーションの効果は、コラーゲンの再構築がなされるまで最大で18ヶ月続きます。
削皮術とマイクロ削皮術は第一選択治療であり、他にはレーザーアブレーション、アブレイティブフラクショナルレーザーなどがあります。

削皮術
削皮術は、無表情時の表面的なシワあるいは顔を動かした時にできる表面的なシワの治療に用いられます。

人気は少ないものの、効果的な治療で、口周囲領域のシワには最も効果的です。安価で簡易な処方であり、局所麻酔または局所神経ブロックを用いて行われます。
削皮器を使い、真皮の表皮と上層が機械的に除去します。これにより、こすれた部分のシワを小さくしたり滑らかにします。
アブレーションは通常、真皮の乳頭層から真皮の中層部に到達します。この部分までの損傷の再上皮化は通常7〜10日で完了します。

削皮術の後には、皮膚再生とコラーゲン再構築が起こります。

紅斑と色素沈着が重大な副作用として報告されており、これがゆえに本邦ではほとんど行われていません。
さらに、瘢痕形成、ヘルペスといった副作用があります。技術の効果と合併症リスクは傷の深さによる。
深いほど、合併症発症率は高くなる。持続的なシワや大ジワには、最初の手術セッション後、削皮術は6〜12ヶ月繰り返されます。

マイクロ削皮術(microdermabration)
表面的なシワや光老化した皮膚には、欧米ではマイクロ削皮術がよく利用されます。
スティック状のデバイスの先に結晶または他の摩耗物質がついておりこれを肌に押し付けます。
この技術のメカニズムは明確にされていません。

本物の肌でのアブレーションは施されていないものの、網様真皮における組織学的な変化(つまり脈管変化)が報告されています。
マイクロ削皮術の有益な効果には皮膚のコリの減少、皮膚コンプライアンスの増加、光老化した皮膚の見た目の中等度の改善が期待できます。

レーザーアブレーション
アブレーションとは、表皮と真皮層上部の除去を意味し、無表情時の表面的な小ジワおよび/または顔を動かした時にできる小ジワの治療に広く使われています。

肌の若返り向けのレーザー処方には、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)とEr:YAG (エルビウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) レーザーがあります。
レーザーによって放出されたエネルギーは、顔の表面の水で吸収され熱に変換されます。
このように、制御された熱傷が始まり、組織蒸発とその後凝固が起こります。熱誘発によるリモデリングとコラーゲン収縮についで、肌質の変化とシワの外見が改善されます。

レーザー治療を始める前に、肌質とタイプ、シワの位置と深さをみる患者の術前評価がなされなければいけません。
レーザーにより若返りがよく見られる主な部位2つは、口周囲および眼窩周囲部です。
無表情時にできる小ジワは、運動過多性のシワよりもレーザー治療に反応します。顔が動いた時にできるシワには、追加的な治療法(例えばBTXまたはフィラー)が、より効果的な場合があります。

無表情時の大ジワと皮膚下垂、及び顔を動かした時にできるより大きなシワ

このタイプの患者には、手術による治療(自己由来脂肪移植または皺皮切除)と局所治療(マイクロ削皮術、削皮術、レーザーアブレーション)がシワの改善に最も効果的である。

自己由来脂肪移植
ボリューム損失は、老化現象の初期構成要素の1つと認められているので、この処方は人気になりました。

フェイシャル・リポフィリングは、形成外科と顔の若返りにおいて、ボリューム増加のために広く使われています。

頬部が脂肪移植によるボリューム増加に非常に良い適応です。
脂肪注射は軟部組織萎縮が原因のほうれい線にも効果的に用いられます。脂肪移植は手の甲の若返りにも効果的であると報告されています。
一方で眉間のシワには、結果が良好でないと報告されています。

最も頻繁な合併症は、凸凹と輪郭欠陥です。
これは、不適当な脂肪採取および/または脂肪フィラー術注射技術によります。結果は患者の年齢に関係しており、若い層(40歳未満)の方が高齢層(60歳以上)の患者よりも良い結果が得られます。

フェイスリフト術
重力降下による皮膚下垂と大ジワがある患者には美容整形または皺皮切除処置が施されます。
小ジワがあり、光損傷がひどい患者はこのような美容整形には向かないが、皺皮切除処置は、40歳以上の患者の多くにとって、顔の老化に対する治療に最も効果的であると多くの形成外科医は考えています。

皮下リフティング、SMAS (顔面表在筋膜)技術、MACS(頭部懸濁液)リフティング、骨膜下美容整形などがあります。
額の形成術は、内視鏡を用いて、眼瞼下垂の眉毛を持ち上げ、額の横シワおよび/または眉間のシワを滑らかにします。
美容整形はたるみだけに対処し、小シワと肌質には効果がないことは知っておいたほうがいいでしょう。

フェイスリフト術には瘢痕形成、血腫形成、脱毛、神経損傷、顔面の非対称、顔面神経麻痺などの副作用街あります。効果は最大15年続きます。

監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
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