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2024年08月05日

ヒアルロン酸注入後の遅発性結節:原因と治療法

ヒアルロン酸注入後の遅発性結節:原因と治療法

フィラー注入後に発生する遅発性結節は、比較的稀ですが、患者にとっては深刻な問題となり得ます。この記事では、遅発性結節の原因と治療法について、最近の研究を基に解説します。

遅発性結節の原因

遅発性結節は、注入後数週間から数年後に発生することがあります。これらの結節は、注入されたフィラーが異物として認識され、体内の免疫反応が引き起こされることが原因です。免疫反応は、フィラーの組成や量、形状、サイズ、そして生分解性によって異なります【参考文献1†source】。

ヒアルロン酸(HA)は、通常、免疫系によって惰性物質として認識されますが、その架橋技術や分解産物によって炎症反応を引き起こすことがあります。特に、製造過程での不純物や細菌の汚染が炎症反応の一因となることがあります【参考文献2†source】。

細菌バイオフィルムの影響

細菌バイオフィルムは、フィラー注入時に細菌がフィラーに付着し、形成されることがあります。バイオフィルムは、低レベルの慢性感染を引き起こし、抗生物質に対して抵抗性を持つため、治療が難しいです。バイオフィルムが活性化すると、局所的または全身的な感染症、肉芽腫性または炎症性反応を引き起こす可能性があります【参考文献1†source】。

治療法

遅発性結節の治療には、以下の手順が推奨されます:

  1. 抗生物質の使用:発熱、圧痛、紅斑、硬結、または浮腫がある場合、感染が疑われます。広域スペクトルの経口抗生物質(シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、ドキシサイクリンなど)が第一選択です。抗生物質の投与後に顕著な改善が見られた場合、感染プロセスが示唆されます。

  2. ステロイドの使用:全身的な浮腫や硬結がある場合は、経口ステロイドの使用が推奨されます。感染が疑われる場合、抗生物質の開始後にステロイドを投与します。

  3. ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸分解酵素)の注射:HAフィラーを除去するために、ヒアルロニダーゼを注射します。これにより、炎症プロセスが始まったエリアのHAを分解します。ヒアルロニダーゼは必要に応じて毎日〜週1回繰り返します。

  4. 局所ステロイド注射:個々の結節が残存する場合、局所ステロイド(ケナコルト)の注射が効果的です。

  5. 超音波の使用:高周波超音波を使用して、フィラーの位置と炎症反応の特性を評価し、治療の精度を向上させることができます。

結論

遅発性結節は稀ですが、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。適切な診断と治療を行うことで、これらの結節を効果的に管理することが可能です。医療従事者は、患者のサポートを続け、完全な解決を目指すことが重要です。


参考文献

  1. Delayed Foreign Body Granulomas Secondary to Dermal Fillers: Clinical Findings, Pathogenesis, and Management
  2. Delayed-Onset Inflammatory Response to Hyaluronic Acid Fillers

監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
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