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2020年10月29日

マスクによる肌トラブル・ニキビが急増!?原因や対策について

マスクを着用することが増えてから肌トラブル、ニキビが急増していることをご存知でしょうか?

マスクはかぶれやニキビなど様々な肌トラブルを引き起こしますが、マスクが必須の状況下ではマスクを外すことはできません…。 そこで今回は、マスクによる肌トラブルの原因と対策方法、マスクの選び方などをご紹介していきます。

マスクが原因の肌荒れが増えている?

新型コロナウイルス感染症の影響によって外出時にマスクを着用する機会が増えましたが、マスクは肌に良いのでしょうか?悪いのでしょうか? 「マスクをしていれば保湿されそうだから肌に良い」といったイメージを抱く方もいれば、「マスクをずっと着用していると肌荒れしそう」と考える方もいらっしゃるかと思います。

実際にはどうかと言うと、新型コロナウイルス感染症の流行以来、マスクに伴う皮膚疾患は急増しています。 例えば当クリニック“はなふさ皮膚科三鷹院”においては、2019年9月のニキビ治療数は450件でしたが、2020年9月には630件まで増えております。また、脂漏性皮膚炎も2019年9月は65件であったのに対し、2020年9月は75件まで増加しています。

当クリニックにおける皮膚疾患の治療件数からも、マスクによる肌トラブルが増えていることがお分かりいただけると思います。

※本記事はマスクに伴う皮膚疾患について説明することを目的にしており、マスクの着用を否定するものではございません。新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐために、マスクの着用は必要です。

マスクで肌荒れしてしまう理由

ムレ

長時間マスクを着用していると呼気や発汗でマスク内が蒸れ、肌荒れしやすくなります。 一般的に乾燥は細菌増殖を抑制し、湿潤は細菌増殖を促進しますので、マスク内が蒸れるとアクネ菌やマラセチア菌などの細菌が繁殖しやすくなります。アクネ菌はニキビ、マラセチア菌は脂漏性皮膚炎ができる原因となりますので、マスク内の蒸れでこれらの肌トラブルが生じることもあるのです。

摩擦

マスクを着用していると肌に摩擦が生じ、肌トラブルを引き起こすことがあります。 皮膚角質層へ摩擦刺激が加わると、水分の蒸発を防いだり、外部からの薬剤や細菌、ウイルスの侵入を防ぐ「皮膚のバリア機能」が低下してしまうため、肌荒れしやすい状態となります。また、マスクの摩擦によってかぶれ(接触皮膚炎)ができることもあります。

乾燥

世間的にはマスクをしていると保湿できると思われていますが、実はマスクをすることで肌は乾燥してしまう場合も少なくありません。マスクによる摩擦で肌のバリア機能が低下し、経皮的水分蒸散量が増すことで、水分が一気に蒸発して肌が乾燥してしまうことがあるのです。

マスクで起こる肌トラブル

かぶれ(接触皮膚炎)

かぶれは医学的に「接触皮膚炎」と言い、皮膚科外来患者の4 %~ 30%を占める皮膚疾患です。症状としては主に表皮に痒み、ヒリヒリ感を伴う湿疹性の炎症反応が生じます。

接触皮膚炎は大きく分けると刺激性とアレルギー性に分類され、マスクによって生じるのは前者の刺激性接触皮膚炎です。 マスクが擦れることで皮膚に物理的な摩擦が生じて皮膚のバリア機能が低下し、接触皮膚炎になってしまうのです。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎はその名の通り、鼻や口の周りなどの脂漏部位によくできる皮膚疾患です。 痒み、火照り感は比較的少なく、カサカサした湿疹が目立ちます。

脂漏性皮膚炎はマラセチアという皮脂を餌にする皮膚の常在菌が原因で生じると考えられています。 (皮脂の分泌異常やビタミンB群の不足、ストレス、皮膚表面のpHなどが関与しているという説もあります。)

マスクを着用すると鼻や口の周りが蒸れてマラセチアが増殖します。するとマラセチアに対して肌が過敏反応を起こして肌に炎症がおき、脂漏性皮膚炎になってしまうのです。

鼻の横あたりが左右対称に赤くなって、フケのようなものができるのが代表的な症状ですので、マスクを着用してこういった症状が出たら脂漏性皮膚炎を疑いましょう。

ニキビ

ニキビは一生のうち90%以上の方が一度は経験するありふれた皮膚疾患で、医学的には尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)と言います。 ニキビは毛穴に皮脂が詰まって面皰(めんぽう)ができることから始まります。面皰のなかはアクネ菌が増殖しやすい環境となっており、増殖すると炎症を起こしてニキビができます。

マスクで蒸れると皮脂の分泌が上手くいかず、毛穴に皮脂が詰まってしまうためニキビができやすくなります。また、蒸れてアクネ菌が繁殖しやすくなることも、マスクでニキビができやすくなる要因のひとつです。 マスク内が汚れているとアクネ菌があちこちに繁殖してニキビが増えることもありますので、清潔な状態を保つことが大切です。

唇の荒れ

唇は皮膚表面の角質層が薄く、皮脂腺や汗腺もないため乾燥や紫外線などの外的刺激に弱く、荒れやすいと考えられています。

前述した通りマスクの着用による摩擦は発生しますので、マスクが原因で唇が荒れることもあるのです。

マスクの選び方

マスクの素材

マスクによる肌トラブル対策では、マスクの素材にこだわることが大切です。 一般的な不織布マスクは表面が毛羽立っているので、皮膚はダメージを受けやすくなります。また、通気性が悪い素材はマスク内に湿気がこもりやすいため、細菌が繁殖しやすくなり肌トラブルが生じることがあります。

そのため、マスクを着用する際にはできるだけ肌に優しい素材のマスクを選ぶようにしてください。 肌トラブル対策や肌荒れしている方にオススメなのは、コットン素材のマスクです。 コットンは肌に対する刺激が最も少ないことが分かっていますし、通気性も良いため肌へのダメージが少なくなります。

マスクの大きさ

マスクは小さすぎても大きすぎても肌に刺激や負担を与え、肌トラブルの原因になってしまいます。マスクを選ぶ際には、自分の顔の形や大きさに合ったものを選ぶことも大切です。

マスクの使い方

マスクを2日以上連続で使う方もいらっしゃるかもしれませんが、肌荒れ予防のためにはマスクを清潔な状態に保つことが必須です。

マスク内は湿度が高く、唾液に含まれる雑菌が繁殖しやすい環境となっています。 可能であれば半日使用したらマスクを取り替えるのが理想です。長くても、1日経ったらマスクを取り替えてください。

また、マスクと肌が接触する部分に保湿剤を塗ると摩擦を軽減できるほか、保湿効果も期待できます。

マスクによる肌荒れの対策方法

かぶれ(接触皮膚炎)対策

マスクによるかぶれ(接触皮膚炎)はマスクが擦れて物理的な摩擦が生じることが原因ですので、マスクの素材を変えることである程度はかぶれを予防、改善させることが可能です。 肌に優しい素材に変えても症状が出てしまったり改善されなかったりした場合は、マスクと肌の間にガーゼを挟むのも良いです。

マスクのゴム部分にかぶれがでた場合には、頭の後ろで紐を結ぶタイプのマスクに変えて皮膚への摩擦を抑えるなどの工夫をしましょう。

脂漏性皮膚炎対策

マスクによる脂漏性皮膚炎は蒸れが原因ですので、通気性の良いマスクを着用して予防、症状を改善することができます。 かぶれと同様に、マスクと肌の間にガーゼを挟むのも有効です。

ニキビ対策

ニキビ対策は洗顔と保湿などのスキンケア、食生活の改善が重要です。 洗顔は皮膚の余分な皮脂を落として清潔に保つために必要で、昔からニキビのスキンケアには重要と言われています。

洗顔以外にも、きちんと保湿をして肌の状態を良くすることも大切です。 ニキビができた肌は経表皮水分蒸散量が増加し、セラミド量や保水量が減少する傾向にありますので、十分に保湿しましょう。特に、乾燥肌や混合肌の方は念入りに保湿してくださいね。

食生活の改善については、最近になって乳製品(特に、加工された乳製品)やチョコレート、ケーキなどの甘いものを食べ過ぎるとニキビができやすくなると言われるようになってきたので、ニキビの予防や改善をしたい方は乳製品やお菓子の食べ過ぎに注意しましょう。

ただ、上記のニキビ対策をしっかり行っていてもニキビができてしまうことはあります。 マスク内の蒸れや汚れがニキビ菌を繁殖させてしまったり、マスクの摩擦で毛穴に炎症が起きて毛穴を閉塞させたりすることもあるため、マスクを着用しなければいけないこの時期のニキビは治りにくい傾向にあるようです。

ニキビ治療についてはこちら

唇の荒れ対策

唇は乾燥や紫外線などの外的刺激に弱いデリケートな部位です。 そのため、唇の荒れ対策では経表皮水分蒸散量を抑制することと、水分を補うことが重要となります。 マスクをしていると唇が乾燥しやすくなりますので、リップクリームなどで念入りに保湿するようにしましょう。

肌荒れ時の化粧のポイント

症状にもよって肌荒れした際の化粧ポイントは異なります。例えばニキビの場合ですと、油分の多い化粧品は避けた方が良いとされています。 どのような症状かによって化粧の仕方は違いますので、気になる方は皮膚科を受診した際に、自分の症状にはどう化粧をした方が良いのか医師に確認することをオススメします。

また、肌荒れ時に化粧をした際には基礎化粧品で入念にスキンケアしてあげてくだいね。

クリニックでの治療方法

しっかり対策をしていても肌トラブルが生じることはありますし、セルフケアをしても症状が改善しない場合があります。 肌トラブルを放置したり間違ったセルフケアをしたりすると症状が悪化してしまうこともありますので、セルフケアで症状が改善しない場合にはきちんと皮膚科を受診しましょう。

当クリニック“はなふさ皮膚科”では、確かな腕の医師が患者様の症状に最適な治療をご提案いたします。

ステロイド外用薬

ステロイド外用薬には皮膚の炎症を抑える作用があり、かぶれや脂漏性皮膚炎の治療にも用いられます。ただ、皮膚への副作用もあるためステロイド外用薬は5段階に分類されており、症状に合ったものを塗布することとなります。

はなふさ皮膚科では、かぶれに対しては原因の特定と原因の除去をし、ステロイド外用薬や保湿を中心に治療を進めていきます。 一方、脂漏性皮膚炎はステロイド外用薬のほか、ケトコナゾール外用薬で治療することもございます。

イソトレチノイン

イソトレチノインはニキビ治療の切り札とも言える内服薬で、中程度~重症ニキビ、治りにくいニキビなどに用いられることが多くなってきました。 自費治療にはなりますが、ニキビに関しては低容量でも十分な効果が期待されています。

マスクによるニキビは治りにくい傾向にあるため、自費治療を組合せて治療することが増えています。 はなふさ皮膚科では、抗菌薬の内服やアダパレン外用、過酸化ベンゾイル外用、フォト治療、ケミカルピーリング、イソトレチノイン内服など、保険治療と自費治療の両方から患者様の症状に最適な治療をご提案しています。

イソトレチノインの詳細はこちら

監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
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