閉じる
ご予約はこちら
HANAFUSA BEAUTY CLINIC SITE
Youtube Instagram TikTok
美容コラム
Column
TOP / 美容コラム / ニキビ治療最後の切り札、イソトレチノインは本当に効果があるの?医師が徹底解説
2023年06月28日

ニキビ治療最後の切り札、イソトレチノインは本当に効果があるの?医師が徹底解説

「イソトレチノインって効くんですか?」「イソトレチノインってなんですか?」
そんなお声を、当院のYoutubeコメントや患者様からよくいただきます。
今回の記事では、イソトレチノインについて解説します。
この記事が皆様の治療の参考になれば幸いです。

イソトレチノインとは

イソトレチノインとは、ビタミンAの活性型物質です。食事やサプリメントで摂取したビタミンAが体内で活性化し、薬理作用を発揮する形になったものがイソトレチノインというわけです。そのためビタミンAではなく、スーパービタミンAのようなイメージで考えていただくと良いでしょう。

ニキビに対する作用

イソトレチノインは、ニキビの原因になっている皮脂腺を小さくし、かつ皮脂の分泌を少なくします。つまり、ニキビの原因自体を根本から取り除く薬なのです。欧米諸国ではニキビ治療の切り札になっており、「付け薬や抗生物質の飲み薬で改善しない方が飲む薬」という位置づけになっています。具体的には、
①保険治療では良くならない患者様
抗生物質の飲み薬やつけ薬(ディフェリンゲルやベピオゲル)を使用してもあまり改善しない方
②ニキビが1個できただけで重症化しニキビ跡になる方
③ニキビによる精神的負担が大きい方(ニキビができることで精神科薬を飲まざるを得ない方)
上記に当てはまる方にはイソトレチノインがおすすめです。

古い教科書などでは「イソトレチノインはニキビの最重症型に対する薬」と書かれていたりしますが、最近では世界的に、中等度のニキビから使われるようになってきています。日本でも徐々に中等度程度から使われるようになると思います。

イソトレチノインの特徴と飲み方

これはあまり日本の医師も知らないことですが、イソトレチノインをある程度の期間しっかり飲みきると、ニキビは再発しません。
では、どのくらいの期間服用したら再発リスクが最大限下げられるのでしょうか?
これは
飲んだ量(mg)×日数÷体重(kg)=120~150
と言われています。
70~80%の確率で完全に治ります。
例えば、体重60kgの人が30mgを服用する場合、約8カ月飲めば再発リスクをかなり下げられます。
30mg×240日÷60kg=120
体質によっても変わりますが、大きくは変わりません。

ニキビ自体がクリアになるのは割と早く、2~3ヶ月も飲めばニキビ自体はほとんど消えます。ですがその後頑張って飲むかどうかで再発の有無が大きく変わってしまいます。

ではイソトレチノインの服用を途中で辞めるとニキビは再発するのでしょうか?
実はこれは、不明な部分なのです。ニキビ再発防止に必要な総合期間は前述の計算式で算出できますが、
イソトレチノイン服用を中断→服用再開、を繰り返して総合服用期間を達成する
という飲み方で効果が出るのかどうかは、アメリカの医師の間でも見解が分かれています。
ただし医師個人としては、仮に服用を中断しても、今まで服用したイソトレチノインが無駄になることはない印象です。

社会的な潮流としては、少な目の量(例えば体重60kgの人であれば標準30mgだが、20mg程度)を長期的に服用するのが流行ではあります。医師個人としても、副作用の観点から少な目の量&長期服用という使い方を推奨しています。この使い方であれば体重60kgの人が8カ月ではなく1年間服用する必要がありますが、服用期間がやや延びてもさほど問題は無いかと考えています。

ただし、「ニキビの調子が悪いときだけ飲み、良いときはやめる」のような、飲んだり飲まなかったりという使い方はやめてくださいと、アメリカの学会が発表しています。ある程度の期間きちんと飲まなければ、おそらくあまり体内で蓄積されずイソトレチノインが無駄になりやすい、という理由だと思います。

イソトレチノインの副作用

イソトレチノインは皮脂腺を消退させます。この皮脂腺の消退は顔のみならず全身に起こりますので、全体的に体が乾燥しやすくなるという副作用があります。
乾燥肌の悪化、乾燥による湿疹、乾燥による唇のひび割れ、肌の粘膜が弱くなり鼻血が出やすくなる、などという症状が起こることがあります。ただし一般的にそういった副作用は軽微であり、保湿剤使用などで対処可能です。

抜け毛が増える・髪の毛が細くなるという症状も報告されていますが、あまり問題になるほどのレベルではありません。

うつや不安を悪化させる、という副作用も論文上報告されていますが、まず起こりません。大規模臨床研究によって、そういった影響はないことがわかってきています。

年齢制限

イソトレチノインは基本的に18歳以上であれば使用して問題ありません。諸外国の教科書を見ると、12歳以下は使用禁止とされています。12歳以下が使用すると、骨密度の減少等により骨の成長に悪影響を与える可能性があるのです。 安全のため、13歳〜18歳は小児科医と相談しつつ慎重に使うことが推奨されていますが、日本のスタンダードでは18 歳以上は使用OK、16歳程度からは状況次第で要検討、という使い方が多い印象です。

採血の頻度

イソトレチノイン服用により、中性脂肪上昇・コレステロール上昇・肝障害頻度増加のリスクが上がります。そのため定期的な採血が推奨されており、欧米では
・飲み始める前
・段階的に服用量を上げていき、服用量がピークを迎えた一か月後
というタイミングでの採血が推奨されています。
医学的に合理的なタイミングはあるものの実際日本ではなかなかタイミングを計れないこともありますので、1カ月に1回程度の頻度で採血していれば問題ないと思います。若くて特に持病のない方であれば、服用開始1か月後、3か月後、6か月後に採血すれば十分でしょう。

服用してはいけない人

イソトレチノインは、妊娠中・妊娠の可能性のある人は絶対に服用してはいけません。イソトレチノイン服用により、胎児の奇形リスクが高まるため(催奇形性)です。
イソトレチノイン服用中断後1カ月間は、体内に薬が残っている可能性があります。そのため服用中断後1カ月間は妊娠を避けてください。

授乳中の場合は、日本では基本的にイソトレチノインを処方しません。イソトレチノインは乳汁に入るタイプの薬なので、乳汁を経由して赤ちゃんの体内に入ってしまうと骨形成に影響を与える可能性があるのです。

症例

【新座院症例】

イソトレチノインを4ヶ月まで20mg、5ヶ月目から30mgを内服し、計8カ月経過した症例です。
内服前・1ヶ月後・8ヶ月後の写真です。

顔全体のニキビが、かなりきれいに改善しているのがお分かりいただけるかと思います。

料金
◇イソトレチノイン
ロアキュタン初回:10mg 30錠 26,400円(税込)
アクネトレント初回:10mg 30錠 23,650円(税込)

主な副作用
◇イソトレチノイン
乾燥肌、休止期脱毛症、腎肝機能障害、胎児奇形、横紋筋融解症
※症状、肌質により効果に差があります。

よくある質問

Q:コレステロール値や中性脂肪値が高くなるという事ですが、服用すると太ってしまうのでしょうか?
A:太るわけではありません。血中の中性脂肪値やコレステロール値が高くなるものの、皮下脂肪や内臓脂肪として固まっている脂肪の量が増えるわけではありません。
コレステロール値や中性脂肪値がやや高くなったとしてもイソトレチノインをすぐに中止するわけではなく、運動や食事などに気を付けていただく程度で大丈夫です。
Q:ニキビができていないときに予防として服用することはできますか?
A:予防で使うには強すぎる薬である印象です。医師としてはおすすめしません。
Q: イソトレチノインでもニキビが改善されない場合は、どのような治療がおすすめですか?
A:イソトレチノインでニキビが治らない日本人を見たことがありませんので、基本的に「確実に治る」と考えていただいて大丈夫です。
理由として、イソトレチノインの量をある程度増やせるという点があります。
米国の教科書では体重(kg)×0.5~1mg/日 という用量が推奨されており、体重60kgの人であれば1日に30mg~60mg程度服用できる計算です。効きが悪い場合にかなり増量できる利点があるので、ほぼニキビはできなくなります。

まとめ

海外では適用範囲がどんどん拡大しているニキビ治療の切り札、イソトレチノイン。
今の日本では最重症の方のみが適用ですが、いずれ中等度・軽度のニキビ治療にも使える日が来るかもしれません。

妊娠中・妊娠を希望している人は服用できませんし、副作用にも注意が必要ですが、それだけ強く効果的な薬なのです。

ニキビでお悩みの方、ぜひ当院へお越しください。
イソトレチノイン含め最適な治療をご提案させていただきます。

イソトレチノイン詳細

ご予約はこちら

関連動画

【ニキビ治療薬】最後の切り札イソトレチノインは本当に効果があるのか皮膚科医が徹底解説

監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
医師紹介へ

その他の記事

謹賀新年

あけましておめでとうございます。2023年は大変お世話になりありがとうございました。昨年は京都院、なんば院、渋谷院を新たに開業し、…

【肝斑・シミ】トラネキサム酸の真実を皮膚科専門医が徹底解説

美容目的でトラネキサム酸を服用している方、または名前だけは知っているという方は多いのではないでしょうか?皮膚科領域では肝斑の治療に…

【ニキビ治療】イソトレチノインについて皮膚科医が徹底解説

ニキビ治療、と調べると「イソトレチノイン」という薬が検索結果に出てきたことはありませんか? イソトレチノインはレチノイン酸の一種(…

【鼻の毛穴】いちご鼻の酒さや脂腺増殖症の可能性について、皮膚科医が解説

鼻の凸凹がたくさん目立っていて、毛穴の開きも目立っている方、いわゆるいちご鼻にお悩みの方も多いのではないでしょうか?実はそうした症…

【ニキビ/毛穴/酒さ】アゼライン酸は本当に最強なのか?皮膚科医が解説

今回の記事では、アゼライン酸の真実をお伝えしていきます。アゼライン酸はニキビ・酒さ・美白・毛穴とあらゆる症状に効果を示す、万能選手…

【AGA治療】ミノキシジルの真実を皮膚科医が解説

AGAという言葉、最近CMや広告でよく見かけますよね。AGA専門クリニック、なんてものも見かけます。そしてAGA(男性ホルモン型脱…