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2018年07月20日

腸内細菌叢と皮膚疾患の関連

プロバイオティクスに関する研究が欧州を中心に盛んになっています。プロバイオティクスは人に良い影響を与える細菌叢のことで、腸内細菌叢や皮膚における常在菌、口腔内の細菌叢などが有名です。ビフィズス菌などがよく知られています。近年このプロバイオティクスとプレバイオティクス(オリゴ糖、食物繊維などプロバイオティクスを活性化し健康に寄与するもの)の医療における利用は急激に増加し、研究はアトピー皮膚炎(特に小児に対する)、ニキビ等の皮膚疾患に有益な効果を示しました。この記事では、皮膚、腸および脳の相関性、並びに考えられる病理的な経路について考察します。

脳―腸―皮膚 理論:

この理論は、1930年に皮膚科学者のJohn H. Stokes と Donald M. Pillsburyによって初めて提唱された80年の歴史がある脳―腸―皮膚の統一理論に由来します。 彼らは、感情と神経の状態が皮膚に影響を及ぼす方法に対して「胃腸機構の理論的かつ実践的な考慮」を唱えました。 彼らは、憂鬱、心配、不安といった感情の状態と、消化管機能の変化を結びつけました。つまりそれらの精神的ストレスが腸内細菌叢に異変を与え、結果として局所および全身の炎症を促進するという考えで彼らによって理論化されました。 更に、StokesとPillsburyは、ストレスが誘発する腸内細菌叢への変化により、腸透過性が亢進し、全身と局所が炎症し始めると示唆しました。その結果、皮膚にも影響を与えると仮説を提唱しました。 考えられる病理的な経路には以下が含まれます:
  • 衛生理論
  • サブスタンス P
  • 血糖コントロール
  • 腸透過性
  • スフィンゴ脂質
  • Propionibacterium acnes(ニキビ菌)

衛生理論:

ヘルパーT細胞(Th細胞)は、免疫系、特に適応免疫系において重要な役割を果たします。Th細胞を含む腸内細菌叢(そう)は、Th細胞がTh1かTh2のどちらのタイプになるかに大きな影響を与えます。理想的な環境では、妊婦及び新生児へのプロバイオティクスの投与が、乳児期のTh1細胞へのナイーブT細胞の健全な分化を促進し、アトピー性皮膚炎のような疾患の予防や治療に有用であると考えられます。Th2の方にバランスが傾くとアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患になりやすくなることが報告されています。プロバイオティクスは、Th1サイトキンの産生を刺激しながらTh2の反応を抑制することができます。乳児期に、過度に清潔にされ、菌やウイルスとの接触の機会がほとんどないと、ヘルパーT細胞(Th細胞)が刺激されず、結果としてTh1/Th2バランスが崩れアレルギーが増加します。乳幼児期を過ぎたアトピー性皮膚炎患児において、対照群と比較してビフイドバクテリウムが少なく、相対的にバクテロイデス属が多いことが報告されています。

サブスタンスP

サブスタンスPは神経ペプチドであり、神経伝達物質及び神経調節物質として作用します。サブスタンスPは、腸と皮膚を関連づける物質と仮定されています。これは、以下によって説明されます。 1. アトピー性皮膚炎のような痒みを伴う皮膚状態では、皮膚におけるサブスタンスPの高いレベルとそのほかの大量の神経性炎症によって特徴づけられています。 2. 経口抗菌治療は腸内細菌叢を乱すことで腸神経系を混乱させサブスタンスP放出を誘導する一方で、プロバロバイオティクスの一つであるLactobacillus paracasei(KW3110株)経口治療はこの放出を減少させます。 腸管と皮膚の両方において、サブスタンスPの放出を軽減する方法としてのプロバイオティクスの影響は、腸と皮膚に神経系をつなげる関連経路として見落とすことができません。最新の研究によりサブスタンスPが皮脂産生の増加を促すことが指摘されており、腸内細菌叢はサブスタンスP→皮脂という経路でニキビの悪化にも影響を与えると考えることも可能です。この経路については今後、本格的に研究が進められていくことでしょう。

血糖コントロール:

プロバイオティクスが気分とニキビに影響を与え得るとの報告もあります。この機構は血糖値を介しています。近年、栄養成分(もっとも注目すべきは低線維質の炭水化物:血糖値を急速にアップさせることで有名)とニキビリスクに関連があることが明らかになっています。(全体的に高血糖負荷の)加工食品と加工糖が少ない地域の食事ではニキビリスクは減少し、逆に血糖負荷の少ない食事を使った食事療法でニキビが改善したとの報告もあります。 先端研究によって、腸内細菌叢は耐糖能に影響を与えること、及び経口投与されたBifidobacterium lactis(ビフィズス菌の一種)によって、高脂肪の食事であっても、空腹時インスリン値及び糖質代謝回転速度を改善できることが示されています。

腸透過性:

リポ多糖体(LPS)エンドトキシンは、ニキビのような皮膚疾患に対して考えられる病因の一つと考えられています。腸透過性が亢進すると、リポ多糖体エンドトキシンを体循環に届けることになります。ビフィズス菌は、この流出を予防することができるが、不摂生(高脂質高糖質の食事)によるビフィズス菌の損失は腸の透過性の増加、腸管バリアを通過するLPSエンドトキシン流出の増加とそれに伴う全身性の炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性と疾病に繋がる変化を引き起こします。 40名のニキビ患者を対象とした研究は、血中のLPSエンドトキシンの存在及び高反応性の両方を示しました。健康な対照コントロール群のうち、E. coli lipopolysaccharide endotoxin (E. coli LPS)に対して反応をしたものはおらず、ニキビ患者では65%が陽性反応を示しました。

スフィンゴ脂質:

角質層にあるセラミドの減少は、乾燥肌をもたらしのバリア機能障害を引き起こします。セラミドを共通構造としてもち、かつPropionibacterium acne(ニキビ菌)に対して抗菌作用をもつスフィンゴ脂質は、ニキビ患者様には少ないです。Streptococcus thermophilus等の局所プロバイオティクスを、7日間クリーム状にて塗布することでスフィンゴ脂質が増すということが分かっています。

Propionibacterium acnes(ニキビ菌):

皮膚の共生菌であるPropionibacterium acnes(ニキビ菌)の異常増殖は、ニキビの悪化と関連があります。ある研究では、皮膚の微生物は、自然に皮膚中に産生されるグリセロールの発酵を介し、P. acnesに対して抑制効果を発揮することが証明されました。皮膚の微生物は、そのほとんどがStaphylococcus epidermidisであり、グリセロールを発酵し、P. acnes.の異常増殖のコロニーに反発するための阻害ゾーンを生成することができます。

(SIBO) Small intestinal bacterial overgrowth(腸内細菌異常増殖)

SIBOは、憂鬱及び不安と関連しています。その一方でSIBOの治療は感情的な症状を改善し、酒さ(酒さ- Rosacea)患者に対する著しい臨床的改善につながるとの報告もあります。 この病気は無症候性の状態の場合もあれば、究極的には、深刻な吸収不良症候群を引き起こします。多くの患者は、膨満感、下痢、腹痛、便秘などの非常に軽度の消化器症状を患います。 近年、SIBOが腸透過性の増加と関連しており、SIBOの抗菌治療が、正常な腸内バリアの回復に役立つということが明らかになっています。

ニキビ(Acne):

一般に、ニキビは、皮脂の過剰生産、毛包漏斗部の過剰角質化及び炎症性サイトサインの放出増加によって特徴づけられます。アンドロゲンと他の病原性の影響と共に、皮膚、毛包の細菌叢はニキビの成長に影響を与えます。ニキビの治療において、広く知られている考えの1つはPropionibacterium acnes、すなわちニキビ菌として知られているバクテリアをいかに殺菌するか、という点です。通常これは抗生物質の内服と、外用にて治療を行います。 研究者は、ニキビ治療において腸内細菌叢に広範囲影響を及ぼすの非特異性化学的な破壊(すなわち抗生剤の全身投与)よりも、肌を改善する非病原的な菌の活用可能性を探っています。この方法では消化管や精神に対する副次的効果も期待できます。 腸内細菌による影響は、直接的又は間接的です。つまり炎症、酸素ストレス、血糖コントロール、組織脂質レベル、病原菌並びに神経ペプチドと感情を調整する神経伝達物質のレベルに影響を与えることによりニキビの程度に影響を与えます。 ロシアの調査の報告によると、ニキビ患者の54%は、腸内細菌叢に著しい変化があったとされています。そのほか脂漏性皮膚炎患者を対象にした中国の研究では、腸内フローラの不調が報告されています。 1917年にはすでに、Saccharomyces cerevisiae酵母(yeast)は、経口投与された場合、ニキビと便秘の両方を改善することができると報告されていました。 56名のニキビ患者を対象にした最近の研究によると、Lactobacillusの発酵乳飲料の消費によって、12週間にわたってニキビの臨床的改善をした。具体的には、プロバイオティク飲料の摂取は、皮脂産生の減少と関連して、総病変数の有意な減少につながりました。J. Kimらによるとプロバイオティク飲料へのラクトフェリンの添加によって、炎症性のニキビの減少が観察されました。これによりニキビ治療においてプロバイオティクスが効果があるということが示されました。 図は[3] Acne vulgaris, probiotics and the gut-brain-skin axis – back to the future? から引用。 ニキビ悪化における腸―脳―皮膚軸の考えられる経路:[1]心理的苦痛単独又は[2]高脂肪の食事つまり低繊維の加工食品との組み合わせにより、腸運動性及び細菌叢のバランスに変化が引き起こされます。正常な生物膜の損失(特にBifidobacterium)は、腸内透過性を増加させ、エンドトキシンの体内への侵入を可能にします。その結果生じた内毒素血(endotoxemia)によって炎症レベルと酸素ストレスの負荷は増加、サブスタンスPは上昇、インスリン感受性は減少します。遺伝的にニキビに対する敏感性を持つ患者は、この機序により、過剰皮脂産生、ニキビの増悪、再燃及びさらなる心理的苦痛の可能性を増加させます。プロバイオティクスはこのサイクルを腸レベルで中断する事でニキビを改善させます。

監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
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