マイクロニードル治療の歴史
マイクロニードル治療の歴史
マイクロニードルの発展において、最も重要なマイルストーンは、以下の通りです。
- ・1995年 Orentreich兄弟が、瘢痕の手術または真皮ニードル治療について記述
- ・1997年 CamirandとDoucetが、瘢痕治療のための「タトゥー・ピストル(tattoo pistol)」 を用いたニードル削皮術(Needle Dermabrasion)について記述
- ・2006年 Fernandesが、ダーマローラを用いた経皮コラーゲン導入療法について記述
詳細について以下にとまとめます。
マイクロニードル治療の歴史
マイクロニードルの最初の形態は、何世紀も前に中国の鍼師によって報告されました。
皮膚を貫通し、皮膚に物質を通しなんらかの効果を得ようとする概念は、初めて使用された削皮術の1つであり、皮膚の層を剥がすホイール(筆者注:日本ではまず行われていない)や深層ケミカルピーリング(筆者注:日本ではまず行われていない)を使用した削皮術には様々な形態がありました。
ホイールによる削皮術を用いたリサーフェイシングは、1905年にドイツで初めて施術されていて、ドイツ人皮膚科医Kromayerが初めて制御型リサーフェイシング削皮術を報告しています。この技術には、回転輪とやすりを含み、にきび瘢痕、角化症、色素過剰の部位を治療するのに用いられました。
米国では1995年頃に、ニードルを使用する考えが、フィラデルフィアの皮膚科医Orentreich兄弟によって生まれました。彼らは、瘢痕としわを治療するためにベベル針を使用していました。
肌の見かけをよくすることを目的にしていたのではなく、陥没した瘢痕(ニキビ跡が代表的)としわを、付着している皮膚からニードルを用いて剥離する、手術(サブシジョン)としての皮下除去(subdermal release)のために使用していました。この当時として画期的な手術方法によって、形成された隙間を埋めるために、結合組織が形成されます。
1996年、台湾で行われた国際美容外科学会(ISAPS)で、Fernandezによって、ローラー機器を使用した皮膚のニードル療法が紹介されました。Fernandezは丸い形状のスタンプを使用し、そのスタンプに、表面から約1?2mmで突出した25個のニードルを付け、彼は局所麻酔をした患者にスタンプを押します。これは、正常な治癒のカスケードに基づき、肌の若返りのためだけに使われました。しかしながら、この針長はあまりにも苦痛であるため、実用はできないと判明し、そして患者は許容できないほどの出血と挫傷を引き起こしました。
1996年、カナダ人形成外科医のAndre Camirand医師は、入れ墨刺針で肌に穿刺すると、顔の瘢痕の状態を大幅に改善し、肥厚性瘢痕の過剰なコラーゲンを分解することを発見しました。肌色のインクで患者に入れ墨をするセッションを繰り返した後、瘢痕組織の減少を引き起こしたのは、色素でなくニードルであるということを発表しました。
これは、医療用入れ墨の本来の使用目的ではなかったが、副次的に肌の若返りに望みをもたらし、更なる医療の可能性のドアが開けました。
翌年1997年、モントリオールの形成外科医Camirand とDoucet は、肌の見た目改善ではなく、瘢痕治療のためにニードルを使用しました。通常、正常な瘢痕は白色です。マイクロニードル技術を使用した時、Camirand とDoucetは瘢痕に周囲の皮膚から複製したメラノサイトを作成し、それをタトゥーガンを使用し瘢痕内に注入し、更に皮膚に色素を注入し、色素が足らない瘢痕に混ぜ、より自然な色にしました。試しに色素抜きでタトゥーガンを使用したところ、瘢痕の色がより良くなり、見かけが改善したことを発見し、これにより、Camirand とDoucetは、色素を使わない入れ墨を「ニードル削皮術」として紹介し、無色で、肥大性、見栄えの良くない瘢痕の外見を改善する技術として提案しました。しかしながら、この機器は、ニードルの堅い束が過剰治療と瘢痕になりやすいことから、広まることはありませんでした。
現代のニードル療法は2000年頃から始まりました。 ドイツ人皮膚科医のSchwarz医師が、今日のダーマローラを商標登録をしました。ダーマローラは一輪車のようなもので、サイズは2.5cmです。Schwarzは、変化を与えられなかった一定の深さに、予め設定されたニードルを設置し、局所麻酔下で、突出した針の付いたこの一輪車を回転させました。
2004年に、真皮がより厚くなり、若返ったことを示すことができたが、この技術は、2つの制約がありました。1つは、ニードルの深さが予め設定されており、変更できない。2つには、もし手動装置であれば、速度を修正することもできないということ。加えて、機器は扱いづらく、顔面のすべての部位への使用はできませんでした。しかし、表皮と真皮の両方において、皮膚の若返りを示したので、発想は画期的でした。
2006年、Schwarz医師は、ダーマルローラー技術をコラーゲン導入療法として紹介し始めました。これは、創傷癒合とそれに続くコラーゲン誘導のカスケードの研究の延長で、 彼の研究によると、ニードルの貫通により、コラーゲンは200%増加しました。加えて、新しいコラーゲンは、網様真皮の3分の1である、真皮の500ミクロンに集中したとの事です。1.5mmニードルや2.5mmニードルのように深くなっても、コラーゲンの反応は上3分の1だけにあり、つまり、ニードルの深さに関わらず、改善した部位は真皮の3分の1であったということです。
そして2010年には、研究対象の形成手術では、表皮の厚みと皮膚の厚みが140%増大したことを示され発表し、公表されてきたこれらすべての研究で、時が経つに連れ、150%~200%程度の表皮の改善と真皮の改善を示しています。手動および電動の携帯用皮膚ニードル機器は今や、ニキビ瘢痕の治療向けに低費用で広く利用可能です。
電動の携帯用皮膚ニードル機器で最もよく使われているものはダーマペンで、速度、深さを調整し、電動で施術が可能です。
ダーマペンについての詳しい説明はこちら
将来の展望
皮膚は簡単に到達できる組織であり、良好な再生能があって、直接精査が容易なので、治療および予防遺伝子の薬剤の開発のための潜在的器官の役割をしています。 そのため美容医療だけではなく、その他の難治性の疾患に対しても応用が期待されています。
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