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【ニキビ/毛穴/酒さ】アゼライン酸は本当に最強なのか?皮膚科医が解説

今回の記事では、アゼライン酸の真実をお伝えしていきます。
アゼライン酸はニキビ・酒さ・美白・毛穴とあらゆる症状に効果を示す、万能選手として最近話題になっている成分です。小じわにも有効と言っている医師もおります。

それに関し、科学的論文を紐解いてその真実を暴いていきます。

結論から言うと、アゼライン酸は万能選手ではあるものの、決して奇跡の薬ではありません。
・ニキビの治療の補助
・色素沈着の治療
・酒さ治療の補助
・毛穴治療
・肝斑治療
において有効ですが、シワや小じわへはほぼ効果を示しません。
細かい特徴も後述しますので、ぜひ最後までお読みいただき、使用する場合はぜひ参考にしてくださいね。

アゼライン酸の歴史

アゼライン酸は1980年代には既に使われていた薬です。日本においては、数年ほど前にロート製薬から濃度20%のアゼライン酸が製剤化されたことで注目を浴びました。世界的に見ても、アゼライン酸は近年また脚光を浴びている薬です。

ニキビ・色素沈着とアゼライン酸

アゼライン酸は、主にニキビ治療の補助、酒さ治療の補助として使用されます。

アゼライン酸15%以上であれば、「アダパレン(ディフェリン®)や過酸化ベンゾイル(ベピオ®)という薬とほぼ同等」という論文もあります。しかし一般的には、アダパレン・過酸化ベンゾイルよりもやや効果が劣る、というのが一般的な医師の見解です。
ただしアゼライン酸15%未満の有効性を示した論文はほぼありませんので、使用時には濃度もご確認ください。

ディフェリン®やベピオ®が肌に合わなくて使えない方は、代わりにアゼライン酸をおすすめします。
もうひとつアゼライン酸の優秀なところは、妊娠中の女性でも安全に使用できる点です。ディフェリン®は妊娠中は使用できませんし、ベピオ®も妊娠中は安全とは言えません。それに対してアゼライン酸は妊娠中も問題なく使えますので、ニキビにお悩みで妊娠中の方にはとてもおすすめです。

ただアゼライン酸のみでニキビを治療するのは割と難しく、論文でも「ケミカルピーリングとアゼライン酸を組み合わせた結果」や「抗生物質とアゼライン酸を組み合わせた結果」という論文が目立ちます。
アゼライン酸単独での治療はやや効果に欠ける印象ですが、他の治療と組み合わせるには非常に良い薬です。海外のガイドラインだと、軽症の場合は第一選択薬として単剤で使用することもあります。重症になるにつれ、アゼライン酸が治療薬から消えていく傾向にあります。

アゼライン酸が効くメカニズムは複数あります。
①軽いピーリング作用:毛穴の出口付近の角化を抑える。(レチノイド類と似た作用)
②抗菌作用:ニキビの元となる菌を抑える
③抗炎症作用:ニキビによる炎症を抑える
いずれもマイルドな作用ですが、これらが組み合わさって作用することでニキビ治療に効果を示していると考えられます。

また、アゼライン酸はニキビ跡の色素沈着にも効果を示します。したがって、色素沈着が気になっている方は「ニキビの治療」と「色素沈着の予防」の両方を目的としてアゼライン酸を使用する、という方法もおすすめです。

FAQ

Q: ニキビ予防として継続的に使い続けても良いでしょうか?
A:良いです。単独でのパワーは少しマイルドですが、安全性は極めて高い薬という位置づけで考えてください。

Q:ニキビ跡には効果がありますか?
A:ニキビ跡の中でも、色素沈着、つまり褐色になってしまったものに効果を示します。褐色の原因はメラニンですが、アゼライン酸15%以上はハイドロキノン4%と同等程度にメラニンの産生を抑えるという論文もあるくらいです。

ただ実際はハイドロキノン4%はさほど強い作用はないため、「アゼライン酸のみで完全に色が消える!」というよりも、「軽い美白作用がある」程度に考えると良いでしょう。

Q:ニキビ跡の色素沈着で使う場合、どれくらいの期間使えば良くなるのでしょうか?
A:少なくとも1ヶ月は使ってう必要があるでしょう。理想を言うと、3ヶ月ぐらい使うと尚良いですね。

Q:色素沈着治療を目的に3ヶ月使用してもあまり良くならない場合、他の治療に変えるべきでしょうか?
A:はい。アゼライン酸は副作用も少ないけれど効果もマイルド、という特徴があるため、3ヶ月程使って改善が見られない場合は少し強い治療(例えばトレチノインやハイドロキノンの濃度の高いもの)を検討した方が良いと思います。

酒さとアゼライン酸

酒さに対してもアゼライン酸は一定の効果が期待できます。
ただご注意いただきたいのが、基本的にアゼライン酸の効果が期待できるのは殆どが2型の酒さです。

皆さんご存じのとおり、酒さは3種類あります
1型:紅斑血管拡張型、赤くてポッポするタイプ
2型:ブツブツがあって赤くなっているタイプ
3型:鼻がデコボコする、毛穴が目立つタイプ

アゼライン酸の効果が期待できるのは基本的に2型ですが、このタイプの治療薬には保険適用の塗り薬(ロゼックス®)や、イベルメクチンクリームがあります。アゼライン酸は3番手に位置しており、イベルメクチンやロゼックス®よりは効果が劣るという論文が多いです。
そのため酒さの2型に対して効果は期待できるものの、あえて一番最初に選ぶのも微妙な印象です。日本であれば、保険適用のあるロゼックス®を第一選択として選ぶのが多いかと思います。

アゼライン酸は1型多少効く、というエビデンスが存在しています。「効く」と断言すると語弊がありますが、効いている例も論文上存在はしています。
私の臨床経験でも、1型の酒さがアゼライン酸で改善した方がいらっしゃいます。

FAQ

Q:アゼライン酸の経過観察はどのくらいの期間でしょうか?
A:1ヶ月使って良さそうであれば継続しても良いでしょう。1ヶ月使って効かないのであれば、使い続けても改善する見込みは少ない印象です。

Q:使用継続・中断の判断は、やはり医師と相談すべきでしょうか?
A:はい、酒さは自力で治すことが非常に困難な疾患です。そのため医師と相談して治療することが普通です。医師と一緒に治療する場合、アゼライン酸単独治療はかなり考えにくく、1型酒さにはフォトやレーザー治療がメインとなり、アゼライン酸は補助として用いることが多いと思います。2型に対しても、抗生物質の飲み薬がメイン治療でアゼライン酸を補助として使うことが多いと思います。

毛穴治療とアゼライン酸

アゼライン酸は皮脂腺の働きを 10%~15%下げたという論文もあり、毛穴の開きに対しても効果が期待できます。毛穴を目立たなくさせる効果に関しては、過酸化ベンゾイル(ベピオ®)の類よりも効果が高かった、という論文もあります。

ただ、角栓をとる効果に関しては、レチノイドの類の方が強い印象です。

黒ずみ毛穴の治療に対しては、トライしても良いですが、トレチノインの方が効果があります。黒ずみ毛穴の治療はアゼライン酸のみではやや厳しい傾向にあります。

FAQ

Q:毛穴治療は結構時間がかかるイメージがあります。アゼライン酸で効果の程度を見る場合、どれくらいの期間様子を見れば良いでしょうか?
A:1ヶ月位が目安です。毎日見ていると毛穴の状態が改善しているかどうかわかりにくいので、写真を撮っておく方がおすすめです。

Q:1ヶ月使ってあまり効果が見られない場合、他の治療に変更した方がいいのでしょうか?
A:例えば、1ヶ月経過後に改善していると自分で感じる場合使い続け、改善が見られないと感じる場合は他の治療に切り替えると良いでしょう。

Q:他の治療と併用して大丈夫でしょうか?
A:すごくいいと思います。例えば、ケミカルピーリングやダーマペン・ポテンツァと併用すると効果的でしょう。

Q併用NGな治療はありますか?
A:あまりありません。それがアゼライン酸の良いところでもあります。ただし治療によりますので、併用可否は医師に確認してください。

Q:確認ですが、小じわには効果はないのでしょうか?
A:今のところ効果は確認されていません。おそらく効果がないのでしょう。ただ、クリーム状であるため基剤自体による保湿効果はありますが、小じわの改善とまではなりません。

アゼライン酸の注意点

アゼライン酸の良いところの一つに、副作用が少ない点があります。
例えば20%のアゼライン酸であれば、使い始め1週間ほどは結構ピリピリ感じる場合が多いと思います。ただそれも数日すれば慣れてきますし、赤みやカサカサ感が出ても、通常は数日で収まります。
私の臨床経験でもヒリヒリして使えなくなった方は本当稀です。敏感肌の方でも使える点が、アゼライン酸のいいところです。

最初少なめに使って徐々に増やしていく、または顔の一部(皮脂の多い鼻や額)だけ使ってみるというのも良いと思います。

FAQ

Q:皮膚科で買うアゼライン酸と市販薬は何が違うのでしょうか?
A:まずは濃度です。アゼライン酸は15%以上でなければあまり効果は期待できません。そのため市販のアゼライン酸を購入する場合でも、15%以上のものを選んでいただくのが良いでしょう。
病院で販売しているアゼライン酸は20%ですが、一番エビデンスが多い濃度は20%です。しかしネットなどで買うとかなり高額です。
また、市販の薬はアゼライン酸以外にも成分を加えているため、肌荒れの原因になる可能性もあります。できれば病院のものを買うことをおすすめします。

Q:長期的にスキンケアの一部として使う場合も、20%でも大丈夫ですか?
A:はい。20%でも長期で使って大丈夫です。

Q:アゼライン酸は乾燥肌の方やオイリー肌の方、どちらが向いてるのでしょうか?
A:皮脂腺の働きを抑えるという意味で、オイリー肌の人の方が向いてると思います。ただ、乾燥肌の人も全然使えます。最初のカサカサが出やすいので、最初だけはしっかり保湿してから使うと良いでしょう。

まとめ

アゼライン酸は万能選手であることは間違いありません。ニキビにも、酒さにも、色素沈着にも、毛穴にも効くため、世界的に人気が高まっていることも事実です。

ただし、万能選手がゆえにスペシャリストになりきれない薬でもあります。アゼライン酸だけでは、ニキビも酒さも毛穴も色素沈着も、軽症のものしか効きません。安全性も非常に高い薬ではあるのですが、奇跡の薬・崇拝するような薬ではないという印象を受けます。

組み合わせで力を発揮していく薬と言えるでしょう。

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監修医師紹介

院長
花房 火月(ハナフサ ヒヅキ)
経歴
  • 平成18年3月  東京大学医学部医学科卒
  • 平成18年4月  癌研究会有明病院(初期研修医)
  • 平成19年4月  東京大学医学部附属病院(初期研修医)
  • 平成20年4月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(専門研修医)
  • 平成20年7月  東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線
    レーザー科(助教)
  • 平成20年12月  NTT東日本関東病院皮膚科(医員)
  • 平成22年7月  東京厚生年金病院皮膚科(レジデント)
  • 平成23年7月  三鷹はなふさ皮膚科開設
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