3型の酒さ、日本では鼻瘤型の酒さと呼ばれることもある酒さは海外の男性に多い・日本人には少ない・特に日本人女性ではほとんど発症しない、という定説があります。本記事ではこの定説の真実を解明していきます。
もし記事を読んでご自身が酒さかも?と疑われた方は、ぜひ当院までご相談ください。
3型酒さは日本人には少ないのか?
今から17年ぐらい前の教科書には「酒さはそもそも日本人には少ない」と記載されていました。
皆さんご存知の通り、酒さはありふれた疾患であるということが最近はわかってきました。
この理由として、本当に昔は酒さが少なくて今増えてきたのか、もしくは昔は単に病気として認識されておらず見落とされていただけなのか、この真相ははっきりとは分かりません。ただおそらく見過ごされた可能性は大きいと睨んでいます。
酒さが結局日本でもありふれた疾患だということが分かってもなお、酒さの3型は日本人には少ない、という定説が残っています。鼻がボコボコに大きくなって、酔っ払いのサンタクロースみたいな鼻になるっていうのが酒さの3型であり、滅多に見たことがないから「日本人には少ないんだろう」と社会的に思われていますし、そう思っている医師も多いと思います。酒さ自体あまり注目されてきませんでしたし、論文を読み込んだ医師自体が日本では少ないためにこのような認識になってるのかもしれません。ただし、酒さ3型は実は、決して日本で少ない疾患などではないのです。
こちらの症例写真をご覧ください。
鼻がデコボコしていて大きくなって、「これは鼻瘤だな」と誰もが思うでしょう。確かにこういう風になる方は日本人では非常に少なく、なるとしても中年以降の男性であることが殆どです。
ただし、このようなわかりやすい鼻瘤になる前段階の、軽症~中等度までがあるのです。軽症の酒さ3型は皮膚表面の硬さ・テクスチャーの変化・血管拡張などで診断が可能です。見過ごされがちな酒さ3型の特徴について解説していきましょう。
隠れ酒さ3型の特徴
3型酒さの特徴として、下記が挙げられます。
・顔の中心、鼻や頬の内側、眉間部分の皮脂が目立つ
・顔の中心部が脂っぽい・毛穴が目立っている。さらにその部位に赤み(血管拡張)が目立つ
※赤みに関しては3型だけではなく酒さ全般に当てはまる特徴ですが、血管拡張が目立つことが多いです。
・鼻や頬の内側あたりの皮膚がやや硬い感じを受けることが多い
・昔の写真と比べると 鼻が少し膨らんできたような印象がある
また、鼻のところに小結節という凸凹(脂腺増殖症によるものが多い)が見られる症状が出ている場合、酒さ3型の可能性は極めて高いです。意外と日本女性でもたくさんいらっしゃる印象です。
現状だと毛穴が開いてるためにダーマ ペンやフラクショナルレーザー、ポテンツァを延々当てられていることが多いと思いますが、ベースの酒さが改善しない限り、一時的に改善→再発を繰り返します。
鼻のテクスチャーの変化はポイントになります。見た目がなんとなくテカテカして、凹凸が目立って、毛穴が目立って…日本ではイチゴ鼻と言われますが、どちらかというとオレンジの皮に似ている状態が判断のポイントになります。
症例比較
前述の症例写真は中年男性の写真です。鼻が大きく膨らんで血管拡張もあり、凸凹しています。素人目に見ても鼻瘤とわかるのではないでしょうか。
では2例目をご覧ください。
こちらはまだ若い女性の写真でして、これ位になってくると酒さ3型と診断できる人は少なくなってくる印象です。典型的な肌のテカリ・表面の凸凹・毛穴の目立ち・触ってみるとわかるのですが皮膚の硬さ分厚さがあります。これは典型的な酒さの3型です。よく見ると顔の中心部に赤みがあります。
最後の症例は診断が若干分かれるレベルです。若い女性の方で鼻の毛穴が目立つということで来院されました。
鼻に毛穴が目立っており、毛穴から広がるような赤みがある・皮膚の表面に特徴的なテカリがある・凹凸がある・脂腺増殖症が目立つ…酒さの3型の極初期と診断した症例です。こういう方であればほとんど見落とされてる印象があります。
酒さ3型の治療方法
なぜ軽症でも酒さを見落としてはならないのか?それは、治療に決定的な影響を与えるからです。
酒さ3型をきちんと見抜いていれば、適切な治療でスッときれいになります。酒さを見抜かずに延々フラクショナルレーザーやダーマ ペンをやっても、一時的に改善したとしても治療自体が刺激になり、かえって長期的には悪化するケースも多くあります。少なくとも、酒さの場合はフラクサーレーザーやダーマペンで絶対に良くなりません。
酒さ3型の治療方法
症例1例目、2例目のように変形が目立つ場合、盛り上がってるところを炭酸ガスレーザーで削ってあげる必要があります。その傷が落ち着いたところで、イソトレチノインの飲み薬を開始します。イソトレチノインはビタミンAの活性型の飲み薬で、ニキビに使われることが多いですが、酒さの3型にも非常に効果的です。
酒さの3型は皮脂腺の過剰な働きが原因となっていることが多いのです。皮脂腺が皮膚の中で大きくなりすぎて鼻瘤を形成しているのです。そのため皮脂腺の働きを抑制して皮脂腺を小さくするイソトレチノインは特効薬と言っていいくらい非常に効果が高く、炭酸ガスレーザーで盛り上がりをきれいに削る&イソトレチノインを飲むという治療法が最も効率的なのです。
ただごく軽症の場合、ほぼ変形や盛り上がりが目立たないような症例の場合は、イソトレチノイン+ポテンツァ、またはイソトレチノイン+ダーマペン、という組み合わせも悪くない印象です。
酒さ3型の症例
こちらの写真は前述の症例1例目の治療経過です。男性の方で、大きくなっていた鼻を炭酸ガスレーザーで削った後の写真ですね。美容にはあまり関心がなく、 術後のイソトレチノイン内服はされませんでした。炭酸ガスレーザーで削っただけでも、日常生活を送るには全然問題ないレベルに落ち着いています。毛穴や凹凸は若干目立つものの、ご本人は非常に満足されていました。術後のイソトレチノイン内服していれば、もっと綺麗な鼻になっていたと思います。
もう一例お見せします。炭酸ガスレーザーで削って術後のイソトレチノイン内服もされた女性です。鼻の毛穴や凹凸・膨らみが完全に改善しており、毛穴も目立たず表面もツルッとした感じになってるのがお分かりいただけると思います。酒さ3型を見落とさず適切に治療すれば、これぐらい綺麗になるのです。
【料金】
◇炭酸ガスレーザー
1平方cmあたり27,500円(税込)
◇イソトレチノイン
ロアキュタン初回:10mg 30錠 26,400円(税込)
アクネトレント初回:10mg 30錠 23,650円(税込)
※2023年10月のご予約より、ニキビ跡治療・毛穴治療で理事長 花房火月を指名される場合は20%の指名料をいただきます。
【主な副作用】
◇炭酸ガスレーザー
痛み、腫れ、出血、痂皮化、瘢痕化、炎症後色素沈着、炎症後紅斑
※症状、肌質により効果に差があります。
イソトレチノイン
乾燥肌、休止期脱毛症、腎肝機能障害、胎児奇形、横紋筋融解症
※症状、肌質により効果に差があります。
Q&A
Q:イソトレチノインはどれくらいの期間飲み続ける必要がありますか?
A:半年ぐらいが目安です。ただ場合によっては、もう少し短くてもいいと思います。重症のニキビの方ほど沢山の量を飲む必要はないと思いますよ。
まとめ
隠れ酒さ3型についてご紹介しました。いかがでしたか?
まだあまりこの病気自体が広まってないのですが、おそらく今後数年の間にメジャーになって、「やはりありふれた疾患だったな」ということが証明されるかと思います。
ご自身で、毛穴の開きが気になったり、酒さかも?とお悩みの方、是非当院へご相談ください。